4月⑯

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4月⑯

飲み会がお開きになる前に、2次会の話が持ち上がり、カラオケはどうかという話になり、男子はみんな参加、女子はあたしと美久以外参加ということで話はまとまった。 お店の前で美久や2次会参加組とも別れて、郁哉に連絡しようと、バッグからスマホを取り出した時。 「金沢。」 カラオケに向かうために歩き出していたみんなのところから抜けてきた常盤くんが、あたしのところに駆け寄ってくる。 「常盤くん…、どうしたの?」 あたしの目の前に来て立ち止まった常盤くん。 「金沢、あのさ。」 「うん?」 「さっき店の中で金沢に言ったこと、本気だから。」 常盤くんは、真っ直ぐ見つめながらあたしの腕を掴んだ。   「酔った勢いで言ったとか、そういうのじゃないから。本当に。」 「…あ…、う、ん…。それは…、分かったよ…。分かったから…腕…、」 真剣な顔であたしを見る常盤くん。その常盤くんは、あたしの腕を掴んだまま離さない。 きつく掴まれてるわけではないけれど、掴まれた腕から常盤くんの熱が伝わって、ドクドクドクと、胸の鼓動が脈打つ。
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