4月⑯

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「…あ…、ごめん…。」 ハッとして我に返った様子の常盤くんは、あたしの腕を掴んでいた手を離し、気まずそうに俯いた。 その直後。 「─!?」 背後から腰回りに誰かの腕がまわって引き寄せられる。 ──え…?なに…!? 一瞬、何が起きたのか分からなかった。 けれど、振り返ってあたしの背後にいた人物を確認できた時、今起きていることを理解できた。 「…人の彼女に手出すの、やめてもらえません?常盤さん。」 あたしの身体に腕をまわしたままそう言った人物。 「郁哉…、」 それは、郁哉だった。 「手なんか出してねぇよ。ちょっと腕は掴んだけど、ただ喋ってただけだし。そんなことぐらいで妬いてんの?」 「別に妬いてないですよ。ただ、気安く触らないで欲しいだけです。」 「人をバイ菌みたいな扱いしないでくんない?」 「そんなつもりないですけど。」 2人を交互に見れば、口元は笑っていても目が全く笑っておらず、言い方が刺々しくて聞いてられないし、ピリピリした空気感にも耐えられない。
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