63人が本棚に入れています
本棚に追加
「…あ…、ごめん…。」
ハッとして我に返った様子の常盤くんは、あたしの腕を掴んでいた手を離し、気まずそうに俯いた。
その直後。
「─!?」
背後から腰回りに誰かの腕がまわって引き寄せられる。
──え…?なに…!?
一瞬、何が起きたのか分からなかった。
けれど、振り返ってあたしの背後にいた人物を確認できた時、今起きていることを理解できた。
「…人の彼女に手出すの、やめてもらえません?常盤さん。」
あたしの身体に腕をまわしたままそう言った人物。
「郁哉…、」
それは、郁哉だった。
「手なんか出してねぇよ。ちょっと腕は掴んだけど、ただ喋ってただけだし。そんなことぐらいで妬いてんの?」
「別に妬いてないですよ。ただ、気安く触らないで欲しいだけです。」
「人をバイ菌みたいな扱いしないでくんない?」
「そんなつもりないですけど。」
2人を交互に見れば、口元は笑っていても目が全く笑っておらず、言い方が刺々しくて聞いてられないし、ピリピリした空気感にも耐えられない。
最初のコメントを投稿しよう!