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「彼氏年下だって聞いてはいたけど、やっぱガキだな。」
伏し目がちにフッと笑った常盤くん。
「なんとでも言って下さい。」
言い返すわけでもなくそれだけ言った郁哉は、「樹理亜さん行こうか」と、あたしの腰を掴んだまま踵を返す。
「金沢またな。」
歩き出すと、常盤くんにそう声を掛けられたから
チラリと振り返って「あ、うん。じゃあね」と返事をした。
郁哉は常盤くんに挨拶することなくそのまま歩き続ける。
横目でその郁哉を見ると、「ん?」と言って郁哉もあたしを見た。
その様子はいつもと変わらないように見える。
「郁哉、もしかして、結構待ってた?」
「ううん。9時半ちょっと前に着いたよ。店の近くまで来たら連絡しようと思ってたんだけど、樹理亜さんと常盤さんの姿見えたから。」
「そうだったんだ…。」
別にやましいことは何もないけど、常盤くんとのやり取りの一部始終見られてたの、なんだかやだな。
郁哉はどう思っただろう。
常盤くんに告白されたこと、話したら郁哉は何て言うだろう。
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