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「からかってないって。」
「ほんとに?」
「ほんとほんと。俺、高校時代金沢のことかわいいと思ってたし。」
「常盤くん、相変わらず口うまいね。」
「や、俺マジで言ってんだけど。」
「もー、そういうの、ほんといいから常盤くんは面接頑張ってきて。」
「はは。そうだな。」
ちょうど応接室に着いたから、あくまで冗談を言い合っているノリでその場を後にした。
彼に言われたことは、多分ほぼほぼ冗談だとは思うんだけど、久々に会った同級生にストレートに「いい女になった」とか言われたらさすがに誰でも動揺すると思う。
あーゆーことをさらっと言えるところは高校時代と変わらないし、女の子に慣れてるんだろうなって思う。
彼…常盤流星は高校2年、3年同じクラスだった。
明るくて、なんでもそつなくこなす万能な人で、いつも彼の周りには人が集まる人気者。
特に仲が良かったというわけではない。
何度か誘われて複数で一緒に遊んだことはあるけど、あたしは大勢いる彼の友達の中のひとりに混ぜてもらってるってだけだった。
高校を卒業して4年。
一度も会うことはなかったし、友達と言えるような関わりなんて少なかったのに、あんなふうに気軽に声を掛けてこれる常盤くんのコミュ力の高さはさすがだと思う。
そんな彼がここの指導員として採用されたとしたら、秋に増えてくる女子高校生の生徒がきっと騒ぎ立てるに違いない。
矢野さんも人気あるけど、なんせ常盤くんは矢野さんよりずっと若い。女子高生にとっては魅力的に見えると思う。
面接に来たと言っていたわりに、全く緊張している様子もなかったし、校長との面接はあっさりパスしそう。
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