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郁哉は郁哉で常盤くんとのことを何も言わないから、逆に気になる。
あんなやり取りをして、常盤くんに対して何も思わないはずがない。
そんなモヤモヤを抱えながら、数分歩くと郁哉が車を駐めたコインパーキングに着き、郁哉の車の助手席に乗る。
シートベルトをしようと、ベルトに手を掛けたけれど、あたしのその手は運転席から伸びてきた郁哉の手によって抑えられた。
「…んっ、」
そして、助手席に身を乗り出しあたしの唇を塞いだ。
郁哉の舌先が唇を割って咥内に侵入し、這い回る。
「…ん、…ふ、ぁ…、」
貪るように何度も角度を変えて繰り返されるそれのせいで、身体の奥がじんとする。頭の中が真っ白になる。
その口付けに応えるように、あたしも舌を絡ませた。
上唇と下唇を食すように交互に啄まれた後、唇が離れた時、閉じていた目を開いて郁哉の顔を見る。
パーキング内のライトと街頭だけで照らされて見えた郁哉の瞳は、熱を孕んでいた。
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