4月⑰

2/10
前へ
/159ページ
次へ
「ところで金沢。」 「なんですか?」 「今日も髪下ろしてるけど、またキスマ付けられた?」 「え…、」 紗季さんの鋭い推理と指摘は先週同様変わらず、ドキリとさせられる。 あたしの反応が分かりやすいものだったのか、「やっぱりね〜」とクスクス笑われた。 「末永くん、常盤くんと一緒の飲み会が余程おもしろくなかったんだ?」 「…多分…。」 脳裏に浮かぶ一昨日の夜の記憶。 郁哉とあんなに熱くて激しいセックス、今までなかったかもしれない。 いつだってあたしを気遣うことのできる人なのに、それすらもないものだった。 目が覚めてから何度も「無理させてごめん」って謝られた。実際2日続けてだったし結構身体がしんどかったけど、あたしは全然気にしていない。 寧ろ、情熱的で余裕がないくらいの郁哉を見られたことが新鮮で嬉しかったりする。 「ホント金沢のこと溺愛してるよね、末永くんって。」 「…そう、みたいです。」 「うわ、堂々と惚気たな?」 「や、だって、事実ですし。」 「はいはい。」 事実だからそのまま答えたんだけど、どうやら紗季さんにはノロケに聞こえたようで、笑われてしまった。
/159ページ

最初のコメントを投稿しよう!

63人が本棚に入れています
本棚に追加