4月⑰

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「あのさ、一昨日あんなこと言ったけど、今まで通り普通にしててな。変に気遣われたくないし。」 確かに、同じ職場で働いてるんだから、変に意識してよそよそしくなったらやりずらいし、仕事にも支障が出る。 お互い今まで通りにしてるのがいちばんいい。 「…う、ん。分かった…。」 常盤くんを見上げてそう返事をすれば、常盤くんはホッとしたような顔で笑顔を見せた。 「金沢さえよければまたみんなで集まらん?なんならカラオケとかボウリングとかそんなのでもいいし。」 「あ、うん。そうだね。」 「そのうちまた声掛けるから。」 「うん。」 「じゃ、そういうことでよろしくな」と、常盤くんはこの場を立ち去り、喫煙所へ行くのか外へと出て行った。 「ねぇねぇ。一昨日って飲み会あった日でしょ?何かあったの?」 常盤くんの姿が見えなくなったのを確認してから、紗季さんがあたしの方に椅子を寄せて興味津々な様子で尋ねる。 「え…、あ…、その、実は…告白…されたっぽくて…、」 こういう話、自分からするのって結構恥ずかしいかもしれない。 どぎまぎしながら答えれば、「なるほどね〜」と、紗季さんは然程驚かず、予想していたかのような反応をした。
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