4月⑰

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「あぁ。その日によって昼飯はいろいろだけど、たまにパンにすることもあるんだよ。家の近くにうまいパン屋があって、そこで買ってんだわ。」 「そうなんだ。なんていうパン屋さん?」 「アンダンテって、ところ。知ってる?」 「あ、SNSで見たことあるかも。確か、メロンパンが有名じゃなかったっけ?」 「そうそう。メロンパン有名だけど、それ以外のパンもめっちゃ美味いから。」 「へぇ〜最近パン屋さん行ってないから今度行ってみる。」 「人気のパンは早い時間に売れるから、早めに行くといいよ。」 「うん。」 美味しい食パン買って、郁哉と一緒に朝ご飯として食べるのもいいかも。 メロンパンも食べてみたいから、メロンパンも買おうかな。 なんて思いながら、あたしはお弁当の卵焼きを口に入れた。 「…なぁ、金沢。訊いていい?」 ひとつ目のパンを半分ほど食べた常盤くんが、再び口を開く。 「うん?」 タンブラーのお茶を口に含んだ後、返事をして常盤くんの顔を見る。 「違ってたらごめん。…もしかして、金沢の彼氏って…、ここに通ってた生徒だった…、とか?」 どこか気まずそうに尋ねた常盤くんのその言葉に、ドキリとしたのは言うまでもなかった。
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