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久し振りに郁哉が女の子と話してる姿を見て、心の奥がざわざわした。言い様のないもやもやが広がる。
多分、数ヶ月前に唐沢美月が絡んでいた頃の感情、感覚と同じ。
郁哉は元々友達の多いタイプだし、交流のある女友達がいてもおかしくはない。
でも。だけど。
佐久間さんとはどういう間柄なのかとても気になる。
「今の、佐久間さんって…?」
嫉妬深いと思われたくない。
さり気無く、自然に、気付かれないようにあたしはさっきの女の子のことを尋ねた。
「ん?あぁ。消防学校の仲間だよ。」
「消防学校の…。」
消防学校に女の子いたんだ…。
今は女性も消防士として活躍してるっていうのは知ってたけど、郁哉の同期にも女の子いたなんて全然知らなかった。
「俺と同期の女子は3人いて、佐久間はそのうちの1人。」
「3人もいるんだ。知らなかった…。」
「あれ?言ってなかったっけ?」
「あ、うん。」
「てっきり話したと思ってた。ごめん勘違い。」
「ううん。ていうか、女子で消防士目指してるって、なんかすごいね。」
「だよなぁ。佐久間は特に頭良くてさ、座学は全然敵わなくて。」
「へぇ…。そうなんだ。」
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