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「ねえ、郁哉。」
「ん?」
「今日って、お母さん夜勤なんだよね?」
「うん。」
モール内でのショッピングを終え、郁哉の車に乗り込んですぐ。
シートベルトをしてから、郁哉のお母さんの事情を確認した。
今日は夜勤だと聞いていたから、うちに泊まろうかなと郁哉は言っていたけれど。
「…あたし、今日郁哉の家に泊まりたい。」
「え…?」
郁哉がカチッと、シートベルトをはめたのと同時に驚いた顔であたしを見る。
うちに泊まるつもりでいただろうし、郁哉の家に行ったのは今まで二度しかなく、泊まったのは一度しかない。
驚くのは無理ないと思う。
「だめ、かな?」
「や、だめじゃないけど。でも、なんでまた急に?俺の家、変に気遣うからって言ってたのに。」
「たまには郁哉の家に泊まるのもいいかなって、思って。」
「まぁ、樹理亜さんがそうしたいなら、俺は全然構わないけど。」
「ホントに?」
「うん。たまには俺の家ってのも悪くないしね。」
「ありがと。」
「時間的に、母さんもう家出たはずだから、俺の家に向かおうか。」
「うん。」
急なあたしの要望に快く応えてくれた郁哉は、さっそく車を動かし、ショッピングモールの駐車場をあとにした。
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