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着信なんて、滅多ないのにこんな時一体誰?
知らない番号の勧誘とかたまにあるから、それかな。
「…スマホ…鳴ってるけど、着信?」
止まった郁哉の手は再び動いて、器用にブラのホックを外す。
「…ん…、たぶ、ん…、」
締め付けらていたものがなくなり、郁哉は直に胸に触れ、そして指先で先端を弄り始める。
「気になるなら出ていいけど。」
「…出なくても、いい…。」
「そっか。」
──電話なんて、どうでもいい。
そう思っていたけど、着信音はなかなか鳴り止まない。
しつこく鳴り続けるその着信音がだんだん気になってくる。
郁哉も同じように思ったのか、手の動きが止まる。
「…なんか、急用かもしれないから確認してみた方がいいかもね。」
郁哉は苦笑いしながら、ゆっくり身体を起こしてあたしを解放した。
「ごめんね。ちょっと見てみる。」
前にも同じようなことがあったような気がしたけど、あれは電話じゃなくてインターホンだったことを思い出す。
郁哉と付き合い初めて間もない時、お兄ちゃんが突然うちに来てインターホンをしつこく鳴らされた。
──まさか、またお兄ちゃんじゃないよね?
ベッドから降りて、バッグに手を伸ばし未だに鳴り続けるスマホを取り出した。
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