5月②

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着信なんて、滅多ないのにこんな時一体誰? 知らない番号の勧誘とかたまにあるから、それかな。 「…スマホ…鳴ってるけど、着信?」 止まった郁哉の手は再び動いて、器用にブラのホックを外す。 「…ん…、たぶ、ん…、」 締め付けらていたものがなくなり、郁哉は直に胸に触れ、そして指先で先端を弄り始める。 「気になるなら出ていいけど。」 「…出なくても、いい…。」 「そっか。」 ──電話なんて、どうでもいい。 そう思っていたけど、着信音はなかなか鳴り止まない。 しつこく鳴り続けるその着信音がだんだん気になってくる。 郁哉も同じように思ったのか、手の動きが止まる。 「…なんか、急用かもしれないから確認してみた方がいいかもね。」 郁哉は苦笑いしながら、ゆっくり身体を起こしてあたしを解放した。 「ごめんね。ちょっと見てみる。」 前にも同じようなことがあったような気がしたけど、あれは電話じゃなくてインターホンだったことを思い出す。 郁哉と付き合い初めて間もない時、お兄ちゃんが突然うちに来てインターホンをしつこく鳴らされた。 ──まさか、またお兄ちゃんじゃないよね? ベッドから降りて、バッグに手を伸ばし未だに鳴り続けるスマホを取り出した。
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