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画面に表示されていた文字。
──それは、“常盤流星”。
なんで常盤くんから?
メッセージの返事してないから、直接電話で聞こうとか思った?
郁哉と今一緒だし、この着信に応答するのはものすごく都合が悪い気がして、着信画面を眺めたままでいたらようやく着信音が鳴り止む。
よかった。諦めてくれた。
そうホッとしたのも束の間。
「常盤さんからだったんだ?」
「え…?」
郁哉の一言にドキリとしながらも、振り返る。
「ごめん。画面見えちゃった。」
「あ…、そっか…。」
「出てもよかったのに。」
「大した用事じゃないと思うし…。」
きっと、ボウリングの件だと思う。
メッセージを既読スルーしてそのままだから、早めに返事が欲しかったのかもしれない。
「俺の前で出るのは都合悪い?」
「そんなことはないけど…。」
なんとなく郁哉の機嫌を損ねてしまいそうで、出れなかった。
けれど、それを郁哉に言えなくて咄嗟に嘘を言ってしまった。
「聞かれたらまずいことあるとか?」
「ないよそんなの。みんなでボウリング行こうって今日メッセージきてたから、そのことだと思う。」
「ふーん…。」
どことなく不機嫌そうな返事。
「…怒った?」
「怒ってないよ。」
気になって尋ねれば、そう答えて郁哉は背後からあたしをぎゅっと抱き締める。
「怒ってはないけど、でもやっぱおもしろくないかな。」
郁哉は本音を吐露した後、乱れたままの着衣の中に手を入れて胸元を弄る。
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