5月②

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画面に表示されていた文字。 ──それは、“常盤流星”。 なんで常盤くんから? メッセージの返事してないから、直接電話で聞こうとか思った? 郁哉と今一緒だし、この着信に応答するのはものすごく都合が悪い気がして、着信画面を眺めたままでいたらようやく着信音が鳴り止む。 よかった。諦めてくれた。 そうホッとしたのも束の間。 「常盤さんからだったんだ?」 「え…?」 郁哉の一言にドキリとしながらも、振り返る。 「ごめん。画面見えちゃった。」 「あ…、そっか…。」 「出てもよかったのに。」 「大した用事じゃないと思うし…。」 きっと、ボウリングの件だと思う。 メッセージを既読スルーしてそのままだから、早めに返事が欲しかったのかもしれない。 「俺の前で出るのは都合悪い?」 「そんなことはないけど…。」 なんとなく郁哉の機嫌を損ねてしまいそうで、出れなかった。 けれど、それを郁哉に言えなくて咄嗟に嘘を言ってしまった。 「聞かれたらまずいことあるとか?」 「ないよそんなの。みんなでボウリング行こうって今日メッセージきてたから、そのことだと思う。」 「ふーん…。」 どことなく不機嫌そうな返事。 「…怒った?」 「怒ってないよ。」 気になって尋ねれば、そう答えて郁哉は背後からあたしをぎゅっと抱き締める。 「怒ってはないけど、でもやっぱおもしろくないかな。」 郁哉は本音を吐露した後、乱れたままの着衣の中に手を入れて胸元を弄る。
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