5月②

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朝食後、郁哉はのんびりしていっていいよと言ってくれたけど、お母さんの帰宅前に帰りたいと話した。 お母さんが帰ってくるのを知っていながらも、図々しく長居するのは、やっぱり申し訳ない気がしたから。 郁哉はあたしの気持ちを察してくれたようで、9時頃に送って行くと言ってくれ、ホッとした。 帰りは郁哉の車で送ってもらうわけだけれど、郁哉の家からあたしのアパートまで送ってもらうというのは今までほぼなかったから、帰りはなんだか不思議な気分だった。 セフレだった頃はこんな光景考えられなかった。 数ヶ月前のことを思い出しながら、郁哉の横顔を見ていると視線に気付いたのか、運転中にも関わらず、郁哉は「ん?」とこちらを見る。 「帰るの嫌だな〜って思って。」 「帰るって言ったの、樹理亜さんじゃん?」 「そうなんだけどね。」 あっという間にアパート前に到着して、駐車場に車を駐める。 「本当は、俺も帰したくないところだけど、予定あってさ。」 「うん。分かってる。」 今日は友達と会う約束をしていると聞いているし、土曜日は消防学校の仲間と集まることも聞いた。 週末や祝日だけしか帰って来られない郁哉にとって、この連休は自由を満喫できる貴重な時間だ。
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