155人が本棚に入れています
本棚に追加
「あとで連絡する。」
「うん。待ってる。」
「やれてなかったビデオ通話しよ?」
「あ、そういえば、前にそんな話したけどやれてなかったもんね。」
「寮だとなんかやりづらくて。家にいる時ならやれるから。」
「ふふ。そうだね。」
この連休中は、好きな時に制限なく連絡を取り合うことができる。
そう考えたら、一緒にいなくても平気って思えた。
「…じゃあ、また。」
シートベルトを外して、車を降りようとした時。
「樹理亜さん、待って。忘れもの。」
「え?」
郁哉に手を掴まれ振り返ると、助手席側に身を乗り出した郁哉に唇を塞がれた。
「…またね。」
ゆっくり離れた郁哉の唇は、次の約束の言葉を紡ぐ。
「…うん…。」
忘れものと言ってされた不意打ちのキスは、初めて車の中で別れ際のキスをした時を思い出させて、なんだかドキドキしてしまった。
最初のコメントを投稿しよう!