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スピーカー越しに聞こえる常盤くんの声はとても嬉しそうだ。
2人きりではないけど、遊びに行く約束をしただけでこんなふうに喜んでくれるなんて。
常盤くんの気持ちに答えられない罪悪感がまた押し寄せてくる。
まだ見込みがあると思われてるとしたら尚更だ。
『今回は前みたいな大人数じゃなくて、男は慶太と礼央と凌の3人だけに声掛けたんだわ。女子は聞いてるかもしれないけど、小澤と安西と大友来るから。』
「え、…てことは、8人?」
『そう。あんま多いとごちゃごちゃするかと思ってさ。』
「…そう、だね…。」
常盤くんとあたしを入れたら男子4人に女子4人…。
しかも、男子は3人とも常盤くんの親友だし、女子の方もあたしと仲良しの子。まるで狙ったかのような組み合わせと人数。
『実はさ、慶太が小澤のこと気になるみたいで。』
「相澤くんが、美久を?え…、美久…彼氏…いるけど…。」
『あぁ。知ってる。なんか、高校時代も小澤のこと一時気になってたみたいでさ。この前の飲みで再熱したらしくて。それで、小澤にもっと接近したいって、人数絞ったわけよ。』
「そうなんだ…。でも美久は…。」
あたしと同じで相澤くんに靡くとは思わないけど。
『まぁまぁ。そこはまず決めつけないでさ、ちょっとだけ慶太にチャンスやってよ。』
「……、」
『ついでに今回のは俺もチャンスだと思ってるし。』
「…え?」
『金沢に、もっと近付けるチャンス。』
「…っ…、」
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