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「─!?」
【なかなか連絡できなくてごめん。】
【今、電話してもいい?】
2通のメッセージの送信者は常盤くんではなく、郁哉だった。
郁哉から届いたそのメッセージで一気にテンションが上がり、あたしはすぐに【いいよ】と返信を送った。
すると、すぐに既読が付いてメッセージ画面が着信画面に変わり、郁哉の名前が表示された。
「…もしもし。」
『樹理亜さん?』
「うん。」
スピーカーから聞こえる大好きなひとの声に、胸がぎゅっとなる。
その優しい声もすごく好き。
『なにしてた?』
「お風呂から上がってのんびりしてたところ。」
『そっか。』
「郁哉は…電話してても大丈夫なの?」
『うん。少しなら。』
「学校どう?大変?」
『今のところはなんとかなってるけど、これから大変そう。』
「そうだよね…。」
『もっとメッセージ送ったり、電話したりしたいけど、やること多いし、時間も限られてるからそうもいかなくて。』
「仕方ないよ。」
『金曜日は家帰るから、土曜日、泊まりに行っていい?』
「もちろん。」
『やった。それまでまず頑張ろ。』
「うん。頑張って。」
『あ、同じ部屋の人達戻ってきたからそろそろ切るね。』
「わかった。」
『じゃあ、また。』
「…またね。」
あっという間に終わってしまった通話だけど、声が聞けただけでも十分嬉しい。
文字のやり取りだけのメッセージとは全然違う。
でも。なんとなく、元気がなかったように感じたのは気のせいだろうか。
慣れないことだらけで多分、疲れているのかもしれない。
ちょっと心配だけど、訊いてもきっと郁哉のことだから「大丈夫」と言うに違いない。
彼なりの意地とかプライドもきっとある。郁哉から言わない限り敢えて触れないでおこうかな。
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