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「どのみち常盤くんに返事しないといけないんだし、気持ちがハッキリしてるなら、早いうちにキッパリ言った方がいいと思うよ?」
「…そうですよね…。」
常盤くんと同じ職場だから、気まずくなってはいけないし、常盤くんに返事はすぐしないで欲しいと言われてその通りにしてしまった。
あたしの気持ちに迷いなんかない。
紗季さんの言う通り、やっぱり常盤くんにキッパリ言うべきなのだ。
たとえ複数で遊ぶにしても、期待を持たせてしまうことになるとしたらそれもよくない。
やっぱりちゃんと常盤くんに話さなくちゃ。
遊びに行くのも次で最後にしよう。
紗季さんに後押しされ、心の中で決意したあたしは、フォークを持つ手を動かしサラダを口に運んだ。
そして、ふと紗季さんを見た時。オレンジジュースの入ったグラスを持ち、ストローに手を添えた紗季さんの左手に目が行く。
キラリと輝きを放った綺麗な石の付いた指輪が、紗季さんの左手の薬指にはめられている。
連休前にはしていなかったその指輪は、きっとエンゲージリングだ。
「紗季さん、その左手の指輪ってもしかして…、」
指輪と紗季さんを交互に見てからかい半分に尋ねれば、「あぁ?これ?」と、自分も指輪に視線を移動させて頬を緩ませた。
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