5月③

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「婚約指輪はともかく、指輪欲しいならねだってみればいいじゃない。消防学校行ってても給料って貰えるんでしょ?」 「貰ってるはずですけど、ねだるのはちょっと…。どのくらい貰ってるかも分からないし…。」 「そんなの気にしない気にしない。金沢が欲しいって言えば、末永くんならぜーったい買ってくれるから。」 「えー…、」 あっけらかんとした紗季さんの発言に、思わず苦笑いが零れる。 自分から指輪買ってなんて、言うのはなんだか違うんだよなぁ。 誕生日とかに何欲しいか聞かれて、『指輪が欲しい』って言うならまだしも。 「金沢は、もっとワガママになっていいんじゃない?年上だからって遠慮する必要ないと思う。末永くんだって、頼られる方が喜びそうだし。」 「…じゃあ、誕生日とかに思い切ってねだってみようかな。」 「誕生日、いいじゃない。おねだりする絶好のチャンス!」 「…頑張ってみます。」 「別に頑張るほどのことじゃないけどね〜」 紗季さんにクスクス笑われたから、「あたしにとってはハードル高いんですよ」と言い返してみた。 そして、そんなあたしの恋愛相談に花を咲かせながら、あたしと紗季さんはランチプレートを完食した。
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