5月③

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食後に頼んでいたデザートのチーズケーキを食べ終え、お腹いっぱいになった頃。 何気なく入り口前のレジのところに目をやると、3人組の女性が会計をしている姿が視界に入った。 「え、うそ。」 思わず声に出してしまったのは、視界に入った女性が見覚えのある人物だったから。 「どうしたの?知り合いでもいた?」 あたしの様子にすぐ気付いた紗季さんは、振り返ってあたしの視線の先を追う。 その人物は一度しか会ったことがないけれど、間違いない。 黒髪のショートボブヘア。 ブルーのストライプブラウスにワイドジーンズを履いていてスタイルが良く、綺麗な人。 「…今レジ前にいる人…、郁哉のお母さんなんです…。」 「え!?そうなの!?声掛けに行く?」 「…いえ…、いいです…。」 紗季さんの問い掛けにあたしは首を振った。 郁哉のお母さんは、あたしに気付いていない。 幸いだ。気付かなくていい。 声を掛けられても緊張してしまって、うまく会話出来る自信がないから。 郁哉のお母さんと一緒にいる2人のうち、ひとりは郁哉のお母さんと同じくらいの年齢ぽく、ロングヘアで小柄な女性だ。 そして。その小柄な女性の隣にピッタリくっついているもうひとりも、あたしは知っている。 「一緒にいるのは末永くんのお母さんの友達とかかな?」 「多分…。」 会計を済ませた様子の3人は、何やら楽しげに話しながら店内を出て行った。 あたしと紗季さんはその姿を見送りながら、会話を続ける。
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