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「急に来てごめん。迷惑じゃ…──、」
“迷惑じゃなかった?”と、言いたかったのかもしれない。
けれど、ドアを閉めた直後の郁哉の言葉を最後まで聞くことなく、あたしは気付いたら郁哉の胸に飛び込んでいた。
「…って、樹理亜さんどしたの?」
急なその行動に驚きながらも、すぐあたしの背中に腕を回す郁哉。
「これはただの熱烈な歓迎と受け取ってもいいやつ?」
「…うん。そう。熱烈な歓迎。」
「一昨日も会ってるのにこんなふうに出迎えてもらえるの、めっちゃ嬉しいね。」
「あたしも、会えて嬉しい。」
久々に会ったわけでもないのに、郁哉が来てくれたことがたまらなく嬉しくて出た咄嗟の行動だった。
「とりあえず、玄関先じゃなんだから上がらせてもらっていい?」
「うん。」
あたしの背中をぽんぽんと、軽くタッチしてからそっと離れた郁哉は、さっそくスニーカーを脱いでフローリングに上がる。
郁哉は来る前にお風呂に入って来たのか、郁哉の家に泊まった時にあたしも使ったボディソープのバニラの香りが鼻を掠めた。
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