4月③

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そして、翌日。 定時で仕事を終えたあたしは、美久がいつ来てもいいように速攻で帰宅した。 アパートに着いてすぐ。 美久から7時半くらいに着くように向かう旨のメッセージがきて、あたしはすぐに【了解】と返信を送った。 美久とは高校時代、いちばん親しかった友人で高校卒業後もその付き合いは続いている。 とはいえ、仕事をしているとなかなか会う機会が減り、特にあたしの仕事は秋冬が忙しいこともあり美久とは半年ほど会えていなかった。 美久には元彼に振られた後、新たに彼氏ができたことを報告してはいるけれど、詳しいことはほとんど話していない。 だから、間違いなくあれこれ訊かれるとは思う。それに加えて常盤くんとのことも絶対訊かれる。 まぁ、常盤くんに関しては本当に偶然再会して飲みに誘われたってだけしか話すことはないけれど。 簡単に夕飯を済ませ、さっと部屋の片付けなんかもしたらあっという間に7時。 テレビのバラエティ番組を観ていたらインターホンが鳴る。 モニターを確認すれば、そこに映ったのはもちろん美久。 すぐにドアを開けに行った。 「樹理亜久し振り〜!」 あたしの姿を見るなり、嬉しそうにそう言った美久。 「久し振り!上がって上がって〜」 テンション高めな美久に釣られて、あたしもテンションが上がる。 「お邪魔しま〜す」と言ってさっそくうちに上がった美久は、オーバーサイズのグレーのパーカーにジーンズというラフな格好とノーメイク。 お風呂に入って来たのか、ほんのりシャンプーの香りがした。
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