4月③

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「あ、そうそう!樹理亜、彼氏とはうまくいってる?年下なんだっけ?」 「そう。年下。まぁ…順調…かな。」 「元カレと別れた時、樹理亜しんどそうだったからよかった〜」 「その節はご心配おかけしました。」 元カレに振られた時。 実は、美久に泣きついて延々と愚痴を聞いてもらった経緯がある。あの時、持つべきものは彼氏より女友達だとつくづく思った。 「それで、その年下彼氏くんは何歳なの?」 美久には彼氏ができたことと、その彼氏が年下であることだけはメッセージのやり取りで以前伝えていたけど、詳しいことはほとんど教えていない。 だから、美久は興味津々な様子であたしの返答を待っている。 正直、年齢のことはあまり触れられたくないのだけれど。 「…19歳…。」 「え、19歳!?」 「う、ん。」 美久の瞳が大きく見開く。そして、復唱したその声のボリュームも一段と上がった。 予想通りの反応ではあるけど、ここから先がいろいろ説明が面倒になるから厄介だ。 「今19歳ってことは、今年ハタチ?」 「ううん。今月19になったばかり。」 「ってことは…ちょっと前まで高校生だったってこと?」 「そう、だね…。」 「え!?マジで!?」 「マジ、です。」 「まさか4つも下とは…。」 年齢の話になると、驚かれるから人に話すのは好きじゃない。 しかも、郁哉が少し前まで高校生だったから尚更。 なんだかこの禁断っぽい感じが抜けないのは、郁哉がまだ10代だからだろうか。
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