4月③

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「ていうか、その彼氏って、樹理亜が働いてる自動車学校に来てたとか?」 「…あ、うん…。実は、そう、なんだよね…。」 「やっぱりそうなの!?樹理亜ってば、いつの間に…。」 どうせ根掘り葉掘り訊かれるなら、さっさと自分から話した方が手間が省けると思ったあたしは、郁哉との出会いから現在に至るまでの経緯を簡単に話した。 「うんうん」と相槌を打つ時もあれば、驚いて目を見開く時もあったりして、美久の反応もなかなかだった。 まぁ同然だよね。数ヶ月前まで郁哉は高校3年生だったし、職場の自動車学校の生徒だったし。 ちょっと間違えたら、周囲にあれこれ言われちゃうような関係だし。 そして、「写真見せて」と言われ、スマホに保存してある最近自撮りしたツーショット写真を見せれば、 「うわ。超イケメンじゃん!」と、目を輝かせた美久のテンションが上がった。 「樹理亜、今モテ期到来じゃない!?」 「モテ期?」 「そ。今付き合ってる年下彼氏もだけど、常盤くんにも好かれてるよね。」 「えぇ〜?なにそれ〜?」 あたしが常盤くんに好かれてるとか、ないない。 常盤くんとの関わりなんて高校時代本当にほとんどなかったし、そもそも常盤くんの周囲には女子がたくさんいたし、あたしなんて眼中になかったと思う。 美久が突拍子もないことを言うものだから思わず笑ってしまった。
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