4月④

3/10
前へ
/159ページ
次へ
勤務終了時刻の18時ちょうどに制服のまま退勤して帰宅した。 最近買ったばかりの白のカットソーと、サイドプリーツの切り替えが付いた黒のジャンパースカートに着替え、簡単に化粧直しをして郁哉が来るのを待つ。 郁哉とは6日前に会ってるけど、1ヶ月くらい会っていないような感覚。 郁哉に会ったら何から話そうか。 消防学校の話たくさん聞きたいし、紗季さんと矢野さんとのこととか、美久に会ったこととか、いろいろ話したい。 そんなことを考えながら、スマホでSNSを見て郁哉が来るのを待っていると、ピンポーンとインターホンが鳴る。 「あ、来た!」 あたしはモニターも確認せず、玄関ドアに向かって扉を開けた。 「樹理亜さんモニター確認してないでしょ。不用心だよ。」 そう言ってクスッと笑った扉の向こうに居る人物は、思っていた通りのひと。 郁哉だった。 「だって…、」 絶対郁哉だって分かってたし、1秒でも早く会いたかったんだもん。 「そんなに俺に会いたかった?」 「…うん…。会いたかった…。」 扉が閉まったのとほぼ同時。 あたしは郁哉の首に腕を回して抱き付く。 「あー、もう。やばい。なんでそんなかわいいこと言うかな。」 郁哉は抱き付いたあたしの背中に腕を回して、ぎゅっと抱き締めた。 大好きな郁哉の温もりが心地良くて、安心する。 「言うこともかわいいけど、今日の格好もめちゃくちゃかわいいね。」 「郁哉ならそう言ってくれると思ってた。」 「え、そこまで俺のこと分かってんの?」 「うん。」 郁哉なら絶対あたしの今日の服、褒めてくれるって思ってたから、一目惚れして買ったジャンスカを今日着ることにしたの。
/159ページ

最初のコメントを投稿しよう!

63人が本棚に入れています
本棚に追加