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勤務終了時刻の18時ちょうどに制服のまま退勤して帰宅した。
最近買ったばかりの白のカットソーと、サイドプリーツの切り替えが付いた黒のジャンパースカートに着替え、簡単に化粧直しをして郁哉が来るのを待つ。
郁哉とは6日前に会ってるけど、1ヶ月くらい会っていないような感覚。
郁哉に会ったら何から話そうか。
消防学校の話たくさん聞きたいし、紗季さんと矢野さんとのこととか、美久に会ったこととか、いろいろ話したい。
そんなことを考えながら、スマホでSNSを見て郁哉が来るのを待っていると、ピンポーンとインターホンが鳴る。
「あ、来た!」
あたしはモニターも確認せず、玄関ドアに向かって扉を開けた。
「樹理亜さんモニター確認してないでしょ。不用心だよ。」
そう言ってクスッと笑った扉の向こうに居る人物は、思っていた通りのひと。
郁哉だった。
「だって…、」
絶対郁哉だって分かってたし、1秒でも早く会いたかったんだもん。
「そんなに俺に会いたかった?」
「…うん…。会いたかった…。」
扉が閉まったのとほぼ同時。
あたしは郁哉の首に腕を回して抱き付く。
「あー、もう。やばい。なんでそんなかわいいこと言うかな。」
郁哉は抱き付いたあたしの背中に腕を回して、ぎゅっと抱き締めた。
大好きな郁哉の温もりが心地良くて、安心する。
「言うこともかわいいけど、今日の格好もめちゃくちゃかわいいね。」
「郁哉ならそう言ってくれると思ってた。」
「え、そこまで俺のこと分かってんの?」
「うん。」
郁哉なら絶対あたしの今日の服、褒めてくれるって思ってたから、一目惚れして買ったジャンスカを今日着ることにしたの。
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