4月⑤

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* 「あのさ、ちょっと聞きたいんだけど。」 「うん?」 「さっき、グレイシアで常盤さんが言ってた飲み会っていうのは…?」 「あぁ…。常盤くんに、近々クラスの人達何人かで飲み会しようって誘われて。まだ詳しいことは決まってないけど。」 「その飲み会、行くんだ?」 「う、ん…。まぁ一応、そのつもりでいるけど…。」 「ふーん…。」 * * グレイシアからアパートに向かう道中で、郁哉とそんなやり取りをした。 訊かれたことをただ答えただけだけど、郁哉はあたしのその話を聞いた後、黙り込んでしまったのだ。 既に郁哉は常盤くんのことをよく思っていないようだし、常盤くんがいる飲み会に行くことがおもしろくなかったのかもしれない。 「別に常盤くんとふたりきりじゃないし…。」 「そういう問題じゃないんだよ。俺的には複数でも行かせたくない。」 「…もしかして、妬いてるの?」 「…妬いてるよ。」 「!?」 不機嫌そうな郁哉の返答を聞いた直後。 郁哉に抱き抱えられ、そのままベッドに連れて行かれてそこに沈められる。 「いく、や?」 「……。」 郁哉は拘束するみたいにあたしの両手首を押さえ、無言で覆い被さってきてあたしの唇を塞いだ。 「んっ、」 すぐ割り入って侵入してきた舌が咥内を掻き回す。 それは、何度も角度を変えて繰り返され、うまく呼吸も出来ないし、身体の奥が疼き始めてどうにかなりそうだ。
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