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「あれ?樹理亜さん着替えたんだ?」
「うん。」
シャワーを浴び終えスウェット姿で戻ってきた郁哉は、テーブル前で水を飲んでいたあたしの向かいに座る。
「あの格好、かわいかったからもうちょっと見てたかったのに。」
「えー、だって誰かさんが服乱すんだもん。もういいやって思って。」
「はは。ごめん。」
「別にいいけどー。」
「でも、あーゆーの好きでしょ?きもちよさげだったもんね?」
「…っ、うるさいなぁ。」
せっかくあたしが優位に立っていたのに、郁哉に逆転され揶揄われておもしろくなくてむすっとしながら郁哉を睨む。
けれど、郁哉はそんなあたしを見てくすっと笑っただけで、「樹理亜さん水ちょうだい」と言ってキッチンへと向かった。
「冷蔵庫に500のペットボトルあるからそれ飲んでいいよ。」
「ありがと。」
冷蔵庫から水のペットボトルを取って戻って来た郁哉は、同じ場所に戻ってきてゴクゴクと水を飲む。
郁哉の方が年下なのにあたしより余裕だから、なんだか悔しいなぁっていつも思う。
付き合ってから特にそれが増えた気がする。
郁哉に全部を委ねるのは好き。
だけど、たまには年上のあたしが優位に立ちたいっていうか、甘えられたいっていうか。
「ん?どしたの?」
ペットボトルの水が半分まで減った頃、じっと見られていることに気付いた郁哉があたしを見る。
ほら。また、その余裕そうな顔と訊き方。
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