4月⑤

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「俺、余裕なんか全然ないから。余裕ぶってるだけだし。」 「そう、なの?」 「そうだよ。」 「……、」 「樹理亜さんは、俺に甘えられるの嫌じゃない?」 「…嫌なわけ、ないよ。寧ろ郁哉はしっかりし過ぎてるからもっとあたしに甘えて欲しい。」 「…じゃあ、これからはもっと甘える。」 「うん。そうしてください。」 「はい。」 あたしの口調につられた返事をした郁哉は、クスッと笑った。 「これからはもっと甘える」とか、なんかかわいいな。 うん。そういうのがいい。そういうのが時々欲しい。 「郁哉。」 「ん?」 「今度はあたしがきもちよくしてあげるね?」 「え…?」 あたしは郁哉の硬くなったそこに触れた後、スウェットの履き口に手を掛けてそれを下ろした。 郁哉を押し倒した時から、あたしはこうすると決めていたから迷いなんてない。 「樹理亜さんっ!?いいよ、そんなのっ」  これからするつもりの行為を阻止しようと、郁哉は身体を起こそうとするも、それより先に、あたしは郁哉の硬くなったものを口に含んだ。 「…はっ…、」 あたしがそれを咥えた瞬間に声を漏らした郁哉は抵抗するのをやめ、身体を床に戻した。
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