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あたしの首元をじっと見ながらニヤけている紗季さんのその言葉に、思わず首元に手を当てる。
確かに両方の首筋にキスマークを付けられた。
でも、制服を着た時鏡で確認したら、ちょうど襟で隠れて見えなくなったはず。
まさか、襟の隙間から見えてた!?
「なーんてね。」
「は、い?」
「カマかけただけだけど、本当にキスマ首にあるんだ?」
「…っ、紗季さんの意地悪〜!」
おかしいと思ったら、紗季さんカマかけただけだったんだ…。
「相変わらず、末永くんキスマ好きだよね。もう独占欲のカタマリって感じ。」
「もー、揶揄うのやめて下さいよ。」
「だってホントのことじゃない。」
「何言ってるんですか。紗季さんだって、ラブラブでしょ?」
「……、」
あれ?
こういう時、紗季さんはなんだかんだでいつも照れ笑いとかするけど。
今日の反応はなんだかいつもと違う。
さっきまで笑っていたその表情が曇り出す。
「矢野さんと、仲直り…してないんですか?」
「…してない。」
「何があったんですか?このところ紗季さん食欲もないみたいだし…。」
紗季さんの目の前に置かれているのは、小さな保存容器に入ったスライスされたキウイのみ。
そういえば、先週のお昼時もサンドイッチひとつだけとか、スープだけとか、フルーツだけとか、そんな感じしか食べていなかった。
食欲が無くなるほど矢野さんとの関係が悪化しているのだろうか。
あんなに仲が良かったのに。
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