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お弁当を食べ終えた後。
甘めな飲み物が飲みたいと思ったあたしは、自販機に飲み物を買いに行くことにした。
体調が思わしくない紗季さんに、何かさっぱりした飲み物でも…と思って飲みたいものを尋ねると、サイダーが飲みたいと言ったから、紗季さんにはサイダーを買うことにした。
休憩室を出て、自販機に向かう途中。
校舎の出入り口から矢野さんが入って来て、こちらに向かって来る。
あたしの姿に気付いた矢野さんと目が合った。
キリッとした眉毛に奥二重の大きめな目。整ったパーツのその顔に、スラリとした高身長でグレーのスーツに紺とボルドーのストライプネクタイをした矢野さんの姿は、相変わらず目を引く。
「金沢、紗季は?休憩室?」
あたしの近くまで来るなり、そう言った矢野さん。
タバコの匂いがするところから、外の喫煙所でタバコを吸ってきたのだろう。
「…はい。」
「具合悪いとか言ってないか?」
「食欲はないみたいですけど、具合悪いとまでは…。」
「…そうか。」
小さく溜め息をついた矢野さんもまた、なんだか元気がない様子。
「あ、矢野さん、何か飲みますか?奢りますよ?」
元気づけようと思って矢野さんにそう声を掛ければ、
一瞬目を丸くしたけれど直後ふっと笑った。
「…じゃあ、コーヒー。ブラックな。」
「わかりました。」
数メートル先の自販機まで矢野さんと一緒に行き、矢野さんが飲みたいメーカーのコーヒーを聞いて購入し、それを手渡すと「サンキュ」と言って矢野さんは受け取ってくれた。
そして、あたしが飲むホットのミルクティーと紗季さんが飲むサイダーもその後に購入した。
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