4月⑦

2/5
前へ
/159ページ
次へ
『そっか。そんなことあったんだ。』 「うん。紗季さんのこと心配だし、矢野さんとの関係も気になって。」 『だね。』 帰宅後。 とにかく郁哉に紗季さんと矢野さんとのことを知らせたくて、迷惑なぐらいの長文のメッセージを送った。 メッセージでのやり取りが面倒だったのか、【電話していい?】と返信がきたから、即オッケーの返信を送り、郁哉と今電話をしている。 「紗季さんと矢野さんは郁哉とのこと取り持ってくれた恩人だから、ふたりに何かあったら絶対協力しようって思ってて。」 『うん。それは俺も同じ。』 「紗季さん、口にはしてないけど他にも思ってることあると思うんだ。」 『かもしれないね。樹理亜さんに打ち明けてくれればいいけど。』 「うん…。」 『でも、お節介過ぎるのも逆にまずいからそのへんの見極め気を付けないと。』 「そうだね…。」 確かに。あたしの押し付けになったらよくない。 その辺は気を付けなきゃ。 『樹理亜さん。』 「なに?」 『樹理亜さんは、門間さんみたいに妊娠したらどうする?』 「…それ、矢野さんにも訊かれた。」 『え、そうなんだ。』 「うん。末永とそういうことなったらどうする?って。」 まさか郁哉にも同じこと訊かれるとは思わなかったけど。 『それで、なんて答えたの?』 「…あたしは、産みたいですって言ったよ。」 『……、』 「郁哉が堕ろして欲しいって言っても、あたしは産むと思う。」 『…俺は堕ろしてとか言わない。』 「ホントに?」 『ホントに。』 「じゃあ…、矢野さんみたいに、プロポーズ…してくれる?」 『するよ。絶対。』 「…っ…、」
/159ページ

最初のコメントを投稿しよう!

63人が本棚に入れています
本棚に追加