4月⑦

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あぁ。だめだ。 その優しい言葉に胸がいっぱいになってなんか泣きそう。 郁哉のすごいところは、まだ19歳なのにあたしとの将来を背負う覚悟があって、それを真っ直ぐにあたしに伝えられるところ。 『もしもし?樹理亜さん、聞いてる?』 「…聞いてる。聞いてるよ。」 『俺、何あってもちゃんと覚悟は出来てるから心配しないで。』 「うん…。」 心配はしてないけどね。 郁哉はしっかりしてるから。ちゃんと言葉で伝えてくれるから。 『…なんか…、やばいなぁ。』 「なにが?」 『今、すげー樹理亜さんに会いたい。』 「あたしも。すごく会いたい。」 『まだ火曜日なのにこんなんじゃ週末まで持たないや。』 「頑張るしかないね。」 『だよなぁ…。あ、そろそろ戻らないとまずいかも。また連絡する。』 「うん。」 『じゃあ、また。』 「あ、郁哉待って。」 『ん?』 「…大好き。」 『…そういうの、切る前に言うの反則ね。』 「だって…、」 急に言いたくなったんだもん。 言った矢先に恥ずかしくてめちゃくちゃ後悔してるけど。 『…俺も、大好きだよ。』 「…っ…、」 『またね。』 「うん…。またね。」
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