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あたしの頭を引き寄せて自分の肩に乗せた郁哉は、後頭部を何度も髪を撫でる。
4つも下なのに、相変わらずどっしり構えていられるその精神力をいつ身に付けたのだろう。
そんな郁哉を「あぁ、好きだな」って強く思う。
「樹理亜さん。」
「なに?」
「門間さんみたいに予定外の妊娠したとして。樹理亜さんの幸せになる選択は、どっち?」
「前も言ったけど、あたしは…産みたいから産むよ。」
「そっか。」
「産んで郁哉と一緒に育てることが、あたしの幸せになる選択。」
「…俺も同じ。」
ふっと笑って一旦離れた郁哉は、あたしの前髪を軽く掻き上げて額にチュッとキスをした。
「…なんでおでこ?」
キスするならおでこじゃなくて、唇がいい。
「口にしたら最後までしたくなるから、やめといたんだけど。」
「別に最後までしてもいいけど…。」
「え、だって生理は?」
「…もう終わったし。」
「…マジですか?」
「マジ、です。」
「聞いてないけど。」
「今言ったもん。」
「早く言ってよ。」
「…だって…、」
そういうの、あたしから言ったら、いかにもセックスしたいですってアピールするみたいじゃない。恥ずかしすぎる。
「生理終わったからしたいって言ってくれても全然構わないのに。」
「やだ、そんなの。欲求不満みたいだし、恥ずかしい。」
「そう?俺は逆に樹理亜さんから誘われたら欲情するけど。」
嬉しそうにそう言って、郁哉はあたしの唇を塞いだ。
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