4月⑨

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「郁哉…いつも言ってるけど…、」 「うん。」 「あたしには郁哉だけだし、他の人には絶対行かないから、心配しないで。」 身体を起こし、郁哉を見下ろしてそう伝えた後、あたしは郁哉の唇に口付けた。 唇を離すと、今度は郁哉が身体を起こしてあたしの首元に唇を寄せてくる。 「絶対、だからね?」 首元で囁いた郁哉は、そのままそこに吸い付いた。 「…っ、」 ピリッとした痛みが走る。 今までないくらい吸い付かれた気がした。 そこは頬のすぐ下。 郁哉はわざと襟なんかで隠せないような場所を狙ってキスマークを付けていた。 「郁哉、ここ、隠せないんだけど!」 「隠したらマーキングにならないじゃん。」 「えー…、」 「これなら常盤さん手出せないっしょ。」 「そういう問題じゃないよ、もう!」 でもまぁ、キスマくらいで郁哉の不安が払拭できるなら、しょうがないのかな…なんて、大目にみてしまったあたしも相当郁哉に甘い。 そして、どうしようもないくらい郁哉を好きなんだなって思った。
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