4月⑪

2/7
前へ
/159ページ
次へ
「そうそう。明後日の飲み会の居酒屋。場所わかる?」 カツ丼を口に運ぶ合間に持ち出した話題は、明後日の飲み会のこと。 「うん。スマホで調べたから大丈夫。」 常盤くんから何日か前に店を予約したとメッセージが来て、行ったことがないお店だったからスマホで調べて場所を確認した。 確か名前はチャンピーという名前のお店だった気がする。 「慶太の親戚がやってる店でさ。こじんまりとしてるけど、女子が飲むようなカクテルもあるし、料理も美味いから期待してて。」 「そうなんだ。楽しみ。」 カクテルなら飲めるし、料理が美味しいお店なら期待できそうだ。最初はちょっと億劫だったけど、行くと決めたからには楽しもうと決めたら、なんだが億劫な気持ちも薄れた。 「ところで、話違うんだけどさ。」 「うん。」  「金沢の彼氏って、年下?」 「え、あ…うん…。そう、だけど。」  「どのくらい付き合ってんの?」 「4ヶ月くらい、かな。」 「彼氏、独占欲強いだろ。」 「なんで?」 「ここ、キスマ見えてる。」 自分の首元を指しながらそう言った常盤くんの言葉にハッとした。 ──しまった。   ご飯食べる時、髪が邪魔でシュシュで束ねたけど、すっかりキスマークのこと忘れてた。 紗季さんならまだしも、よりによって常盤くんに見られるとか最悪。 郁哉的にはそれが狙いだっただろうけど、あたし的にはそんなの恥ずかしいだけだ。 あたしは慌てて束ねていた髪を下ろし、キスマークが見えないようにした。
/159ページ

最初のコメントを投稿しよう!

64人が本棚に入れています
本棚に追加