4月⑬

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「ありがとな昨日。マジ助かったよ。」 「金沢にも言いましたけど、俺は姉に電話しただけで何もしてないです。」 「いやいや。常盤がいなかったらどうなってたことか。ホント助かった。改めて姉さんにも礼言っといて。」 「わかりました。」 「一服しながら今日の業務確認でもするか。」 「あ、はい。」 さっき吸ったばかりのはずなのに、常盤くんを誘ってまたタバコを吸いに行こうとするあたり、矢野さんどんだけニコチン中毒? なんて、突っ込みたくなったけど業務開始時刻まで時間はあるし、敢えてそれは言わず、そのまま矢野さんの方へ行ってしまった常盤くんの後ろ姿を見ながら、さっきの言葉の意味を考えていた。 昨日といい、今日といい、常盤くんに掛けられる言葉が気になってしまう。 あたしは郁哉が好きだし、常盤くんとどうこうなりたいとか全く思ってもいないし、気にしなければいいだけのことなんだけど。 変に動揺してしまう自分、ドキドキしてしまう自分がいて。 常盤くんに翻弄されてるのが、自分の中でどうしても許せないし、嫌だった。
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