4月⑬

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この自動車学校で今、郁哉に会ってるのがものすごく不思議な感じ。 それにたった1週間しか経ってないのにやっぱり久し振りに会ったような気分。 そんな妙な感覚の中で自販機の取り出し口に落ちてきたミルクティーを取り出すと、ピーッという聞き慣れない音が鳴る。 なんだろう?と思い自販機をまた見ると、一度消えたはずのランプが点いている。 「あ、樹理亜さん。これ、当たりじゃん!」 「ホントに?」 「うん。これ当たったみたいだよ。」 「え、じゃあ郁哉好きなの選んで!」 「マジ?急に言われてもな。」 「こういうの早く選ばないと消えるんじゃないっけ?」 「かも!じゃあ、俺もミルクティーにしよ。」 郁哉はあたしと同じミルクティーのボタンを押す。 すると、本当に当たりだったようでお金を入れたわけでもないのにミルクティーが出てきた。 「タダでミルクティーゲット!ラッキー!」 ダークネイビーのスーツ姿の郁哉は、嬉しそうに無邪気な笑顔を見せる。 スーツ姿自体見るのも初めてだし、その笑った顔もかわいかったから胸がキュッとなった。 郁哉を見ただけで、郁哉に会えただけであたしの疲れは一気に吹っ飛ぶ。
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