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脱獄者
夏の暑い日、クアハウスでの騒動が落ち着いた後も、真一たちの任務は終わらなかった。新たな事件が彼らを待ち受けていた。
「今度の舞台は空港か…」
真一が資料を見ながら呟いた。
「何が起こるかわからないが、気を引き締めて行こう」
「ええ、今回のターゲットはVXガスを使うらしい」
薫が科学的な観点から説明を加えた。
「空港でそんなことをされたら、被害は甚大だ」
隆二が焦りを見せた。
「だからこそ、俺たちが止める」
真一が力強く言った。
関西空港に向かう途中、彼らは千早赤阪村という観光地に立ち寄った。ここではライブショーが行われており、多くの観光客が楽しんでいた。
「ここで少し休憩していこう」
絵里子が提案した。
「そうだな。緊張が続くと判断力が鈍る」
真一が同意した。
ライブショーを見ながら、彼らは短い休息を取った。しかし、休息は長く続かなかった。
ライブが終わった瞬間、突然の爆発音が響いた。観客たちはパニックに陥り、混乱が広がった。
「これは…予行演習か?」
真一が驚きながら言った。
「多分、シンパたちの仕業ね。彼らは混乱を起こして本番に備えているのかもしれないわ」
薫が推測した。
「早く空港に向かおう。ここで時間を無駄にするわけにはいかない」
隆二が言った。
関西空港に到着した彼らは、すぐに緊急対策本部に駆け込んだ。シンパがVXガスを持ち込む計画を立てていることが判明し、対応が急がれた。
「VXガスは非常に危険だ。リンパ系に直接作用し、致命的なダメージを与える」
薫が説明した。
「そのガスを使うつもりか……絶対に阻止しなければ」
真一が決意を固めた。
「薫、VXガスの拡散範囲を数理モデルで予測してくれ。時間がない」
真一が指示を出した。
「わかったわ。計算してみる」
薫がパソコンに向かい、迅速に計算を開始した。
数分後、薫は結果を示した。「これがガスの拡散範囲よ。ここを重点的に捜索して」
「リンパ系に作用するVXガスを使うなんて、許されることじゃない」
絵里子が怒りを露わにした。
「俺たちが止めるしかない」
真一が静かに言った。
彼らは迅速に行動を開始し、脱獄したシンパの計画を阻止するために動き出した。施設内を捜索し、ついにシンパを見つけた。
「お前たち、ここまで来るとはな。だが、俺の計画は止まらない!」
「いや、止める。お前の野望はここで終わりだ」真一が毅然と答えた。隆二と絵里子がシンパを取り押さえ、真一と薫はVXガスの拡散装置を無効化した。
「やったわ!これで安全だ」
薫が安堵の表情を見せた。
「皆、お疲れ様。これで一安心だな」
真一が微笑んだ。
「まだだ、シンパを完全に捕まえるまでは終わらない」
隆二が決意を新たにした。
「そうね。でも、今は一息つける」
絵里子が言った。四人は一時的な安堵を感じながらも、再び新たな事件に備えた。彼らの戦いはまだ続くのだ。
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