上から読んでも下から読んでも歌う

2022年10月

　宇郷は、古代遺跡の中で古びた楽器を手に入れた。それは魔法の力を宿すと言われる、伝説の楽器だった。
「これが伝説の楽器か。これで世界を救う力があるとはな」宇郷は呟いた。
　そのとき、楽器から幻想的な音色が響き渡り、宇郷の周りに魔法の光が舞い始めた。
「すごい！これが本当に魔法なのか？」
　宇郷の友人、アヤメが驚きながら尋ねた。
「そうだろう。でも、力を使うには条件があるようだ」
　宇郷は楽器を見つめながら言った。
アヤメは興味津々の表情で宇郷を見つめた。
「条件って？」
「嘘をついてはいけない。嘘をつくと、この力は消えるらしい」
　アヤメは深く考え込んだ後、「それは大変そうだね。でも、君ならきっと大丈夫だよ」
　宇郷は微笑みながら楽器を再び手に取り、「ありがとう、アヤメ。僕はこの力を使って世界を守る」
　宇郷とアヤメは、古代の遺跡から出て、広大な草原を歩いていた。
「宇郷、本当にこの力で世界を守れるの？」
　アヤメが尋ねた。
　宇郷は真剣な表情でアヤメを見つめ、「僕は信じている。この力は私たちに与えられた使命なんだ」
「でも、大丈夫？危険な冒険が待っているかもしれないよ」
　宇郷は微笑みながら言った、「大丈夫だよ。君がいれば、何も怖くない」
　その言葉に、アヤメは笑顔で頷いた。
　突然、空が暗くなり、雷鳴が轟いた。
「あれは…嵐か？」
　アヤメが驚いて尋ねた。
　宇郷は顔を上げ、遠くに見える黒い雲を見つめながら言った、「違う。それは悪意を持った魔法の影だ。早く、その方向に向かおう！」
　二人は魔法の影が集まる方向へと走り出した。

　宇郷とアヤメは、魔法の影が現れた草原の中を進んでいた。突然、彼らの前に立ちはだかる謎の人物が現れた。
「あなたたち、何者だ？」
　宇郷が問うと、その人物は不気味な笑みを浮かべた。
「私はエレニア。この草原の守護者だ」
　彼女は自信満々に答えた。
「守護者？」アヤメが興味津々に尋ねた。
「どうしてこんな嵐を引き起こしたの？」
エレニアは深い溜め息をつきながら言った。「私の力が弱まり、この草原が荒れてきた。私は力を取り戻すため、この嵐を起こしたのだ」
「でも、それで人々が危険にさらされることになるじゃないか！」宇郷が怒りを露わにした。
「あなたたちは関係ない。私の目的を達成するために、あなたたちを排除しなければならない。」エレニアは言い放った。
　宇郷はエレニアの言葉に冷静に考え、彼女の真意を探ろうとした。
「君の本当の目的は、この草原を守ることだけじゃないはずだ。君は何かを隠している。」
　エレニアの表情が一変し、彼女は驚きの表情を浮かべた。「なんだと？」
　宇郷は微笑みながら言った、「私たちは真実を見つけ出すために、君と対話する」
　その言葉に、エレニアは戸惑いながらも、自らの真実を告白し始めた。