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「迫られないっての、なんか、新鮮」
見慣れた照明が雨宮くんの身体で遮られる。元々凹凸がはっきりとしたほりの深い顔立ちなのに、それが更に際立ち、双眼がぎらりと光る。
鈍く乾いたそれは相変わらず野生の獣のようで、まるで首筋に牙を突き立てられたような鋭い空気を感じ取り、身を縮こまらせていた。
けれども緊張ているのは私だけで、なんの躊躇もなく大きな手が服の中に入り込んできた。指先に腹部を撫でられ、体が跳ねる。
こわい、どうしよう、恥ずかしい、
相反する感情がぐるぐると巡り、瞼を強く閉じると恐怖心が余計に煽られた。
そして、今まさに、始まったのだ。
思い切って目を開ける。目下で優しいブラウンが揺れていた。
雨宮くんが触っている。その事実だけを知らしめる。彼はその手を更に奥へと滑り込ませ、ブラジャーを上へとずらした。
「ひっ……!」
あまりの遠慮のなさに、今度は耐えきれずに小さく悲鳴をあげて胸元を押さえる。
「そんな構えんなよ。泣いても叫んでも、お前とヤるのは変わんないんだから」
「そ……かもしれないけど……私は初めてだから、もう少し優しく……」
「やさしく〜?」
ひどく悪い顔をした雨宮くんは、私から体を離した。今までずっと優位に立っていたい雨宮くんと、やっと、対等な場所に立てた気がする。
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