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ひとひらの雪
クソだな、この男。
それが、最初に思ったことだった。
『ちょっと、それ酷すぎ‼』
そう私が言うと、相手は憤慨したように言った。
『いや、だって。この男、何でヒロインが死んだ後に「何でこんなことに⁉」って言っているわけ? そもそも、ヒロインに冷たくしていたのは、この男じゃん』
『仕方ないじゃない。このヒーローさんは、小さい頃から家族の愛情に恵まれなくってさ。人との愛情には、疑い深いのよ』
『だったら、結婚なんざ申し込むなってことだよ。結婚当初から主人公の部屋に訪れない、一緒に夕飯取らない、出かけない、社交界にも連れて行かない。挙句の果てに、浮気疑って、強姦まがいって、アホじゃないの? しかも、「お前は私のものだ!」って。何様のつもりなのよ。りっぱなDV男じゃん』
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