捜査一課第5班

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捜査一課第5班

 その日は、悪夢によって目が覚めた。幼少の頃よりいつも見る夢だった。獣のような瞳を持つ、祖父の姿だった。しかし、顔は猿のように皺が刻まれており、背中には細い尾が引いている。頬は酒のせいか紅く上気している。背中は車海老のように曲がっている。だから(しおり)は海老が嫌いだ。なんとしてでも食べたくない。見たくもない。視界に入れると、祖父のことを思い出すからだった。  液晶時計に目をやると、朝の5:00を少し過ぎたところだった。2度寝するのも難しそうなので、早めの朝食を摂るためにベッドから這い出た。 ーーああ、なんかある。  下腹部の違和感を、ぴんときてから、面倒くさいと思う。毎月来る、あれに違いないと確信する。  トイレに入り、グレーの下着を下ろす。自分で言うのも恥ずかしいが、今年で34になった女が、ふりふりの、グレーの、若干布が薄い下着を身につけている。いわゆる、20代の女の子が着るようなランジェリーだ。なんでまあ、こんな下着を身につけているのかといえば、去年もらった姉からのプレゼントなのだが。わたしは、全くもってこのような下着を身につける趣味はないのだが。女盛りも過ぎた頃に、「人生で1度くらいはランジェリーを身につけたほうがいい。40歳になって、絶対に後悔する」と言われて渡された。姉は、20代でいわゆるオフィスラブのもとで、旦那と結婚し、今は2児の母である。保育園に2歳と4歳の子どもを預けて、日中は市役所で受付事務員のパートとして働いている。真面目な姉らしい職業だ。  わたしと5つ歳の離れた姉ーー遙日(はるひ)は、学生の頃から成績優秀で、中高と書道部の部長を務めていた。真面目で、藍色のフレームの四角い眼鏡の似合う母親になった。  
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