13人が本棚に入れています
本棚に追加
一旦中待合に出た私は当面の生活について考えていた。外出は控えるということと、当然重いものは持たないということであれば食料品の買い出しも避けるべきなのだろう。幸い、明日は土曜日でたぶんタクミも出勤ではなかったはずだ。タクミと一緒にレトルトとか冷凍食品とか、収納力が許す限り、出来る限りの食べ物を買いに行こう。赤ちゃんの生命を守るためだから仕方ない。
「塩谷さん、カウンセリングルームにどうぞ。」
看護師に呼ばれてカウンセリングルームで説明を受ける。
「まずホルモン補充のお薬です。貼り薬ですが、今は3枚ずつ貼っていただいてますが、次に貼り替える際は2枚ずつでお願いいたしますね。2日間貼ったら貼り替えてください。こちら来週の通院までの1週間分です。そして出血を抑えるお薬がこちらのアドナとトランサミンの2種類です。飲み薬で、どちらも1日3回服用してください。そしてこちらが先ほど希望された診断書です。お持ち帰りいただくのは以上です。何かご質問はございますか?」
「いえ、特にはありません。」
「それではロビーでお待ちください。」
会計を終えてクリニックを出た私はまずは職場に連絡した。佐野主任が電話に出てくれた
「佐野主任、お疲れさまです。塩谷です。」
「塩谷さん、診察してもらえましたか?」
「はい。その、さっきはちゃんと説明できていなかったんですけど、実は私、今日で妊娠6週の妊娠超初期でして、まだ妊娠のことは夫以外誰にも伝えていなかったんです。」
「そうやったんか。まぁ妊娠はデリケートな問題やから最初からあんまりいろんな人に言うことではないわな。」
「それで、診察の結果、今のところ胎児はまだお腹の中にいて、流産はしていないようなのですが、流産のおそれはまだあるみたいで暫く通勤は不可という診断書が出まして、明日から当面、私は休職することになります。」
「あら!そうか…赤ちゃんの大事な生命やし、しっかり安静に過ごしや。」
「はい。ありがとうございます。今副室長はご在席ですか?」
「副室長居るよ。電話繋ぐから待っててな。」
「はい、お電話代わりました。副室長の嶋田です。」
「お疲れさまです。塩谷です。」
「今佐野くんからざっと話は聞いたわ。診断書出たんやな。休職の手続きするから悪いけどその診断書は後方支援室宛じゃなくて親展で僕あてに郵送してくれる?」
「分かりました。」
「ひとまずお腹の赤ちゃんが無事で良かったわ。まぁ無理せず!元気に復帰してくれるのを待ってるわ。」
「ありがとうございます。室長にもよろしくお伝え願います。」
「はいはいー。ほなお大事にな。失礼します。」
「ありがとうございます。失礼いたします。」
最初のコメントを投稿しよう!