21 OHSS

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 タクミにはビールを、私は麦茶で乾杯する。豪華な惣菜をふたりで楽しんだ。 「ケーキもあるよー!」  一旦テーブルを片付けて冷蔵庫から取り出したケーキの箱を開く。 「おっ!えっ?メロン?!」 「はい、季節限定のマスクメロンとカスタードクリームとマスカルポーネチーズのクリームを使ったケーキらしいです。」 「すげー!え、これ、3号くらいの大きさやと思うけどめっちゃ高かったんちゃん?」 「ふふふ、内緒。」 「マナ、連休明けたらちゃんときれいな格好して難波のスカイホテルの【花舞(はなまい)】に行こう!な!絶対やで!」 「いや、そんな気ぃ遣わんで良いのに。それより、タクミさん、ケーキがっついちゃってくださいよ。」 「マナもがっついて食べてや。」 「はい、ありがたくいただきます。」  瑞々しいマスクメロンの香りとマスカルポーネチーズクリームの甘み、濃厚なカスタードクリームの層をとても楽しめるケーキだった。  ゴールデンウィークは私が友達の家に遊びに行ったり、タクミが大学時代のフットサル仲間とフットサルしに行ったり、タクミが同じく大学時代の友達に奥さんも一緒にって誘われたからと、私もタクミと一緒にグランピングを初体験したりとなかなか忙しく過ごした。その間も私は点鼻薬と自己注射を続けていたが、今までにないくらい下腹部の張りを感じ始めていた。  ゴールデンウィーク最終日の5月7日日曜日、久々にアクティブに休日を過ごしたので、私もタクミも朝からベッドでゴロゴロしていた。タクミが背後から私の身体を包み込み、何気なく私のお腹に触れて驚いた。 「え?ちょっと、お腹腫れ過ぎちゃう?!(いた)ないん?」 「寝てたら痛くないけどねー。今こんだけ腫れてたらたぶんもう移植は無理な気がする。」 「明日の朝こんな状態で出勤できんの?もう朝からクリニック行くのがええんちゃうん?」 「何か連休明けに仕事休むとか社会人失格な気がして…。連休中にハメ外しすぎたと思われたくないし、特に私は異動したばっかりやから…。」 「えー…。」 「社畜やからな。あはは。」 「マナは今日1日安静にしとき!家事は俺が出来るから。」 「ありがと。」  私は明日の出勤に備えて、タクミの厚意に甘えて1日中ゴロゴロして過ごした。
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