23 凍結融解胚移植

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23 凍結融解胚移植

 私の生理が来たのは6月26日月曜日の夜だった。18時以降の場合は生理1日目は翌日の6月27日火曜日とカウントするらしい。子宮内膜チェックの通院は生理12日目の7月8日土曜日の10時30分に決まった。  移植周期は自己注射がなくてとても嬉しい。貼り薬のエストラーナテープは昔蚊に刺されたところに貼ったムヒパッチみたいな感じだった。2日間貼ったら貼り替えるというのを忘れたり間違えないようにカレンダーに印をつけた。同じところにテープを貼り続けるとかぶれるので前回貼った位置とは違うところに貼るようにとの注意書きがあり、私の下腹部にはテープの貼り痕がいっぱいついていた。  7月の職場は会計処理的には第1四半期決算が絡むので忙しいのかなと思ったが単月決算と大差はなかった。淡々と事務処理を繰り返す。社員なので自分以外の担当者が行った処理のチェックも業務のうちなのだが、案外ミスが多くて、「人の振り見て我が振り直せ」ではないけれど、お金の支払いに関することだし、自分も気を付けようと気を引き締め直すのだった。  7月8日の子宮内膜チェック日、内膜が厚くなっていなければ移植がキャンセルになることもある、とオンライン診療のときに森先生がおっしゃっていたので、私は緊張していた。  内診室に呼ばれて経膣超音波で子宮内膜の厚みを計測される。  次に診察室に呼ばれて医師から内診の結果を告げられる。緊張の一瞬だ。 「塩谷さん、内膜の厚さが8mmということで、移植は7月13日木曜日14時20分でいかがでしょうか?」 「はい。それでよろしくお願いいたします。」 「では今日からお薬を追加しますね。飲み薬と膣錠を追加します。貼り薬は今までどおり継続してください。詳しい説明は看護師からさせていていただくので、中待合でお待ちください。」  移植が決まってひとまずホッとする。今日はタクミは急遽同僚と当番を変わったということで朝から出勤していった。そんなわけで仕事中だがタクミに「移植決まったー!」とメッセージだけ送っておく。そこで看護師からカウンセリングルームに呼ばれた。 「移植の説明をさせていただきますね。塩谷さんの移植は7月13日木曜日14時20分です。移植の日は昼食を済ませていただき、採卵のときにお越しいただいた受付に13時40分までにお越しください。膀胱にある程度尿が溜まっている方がエコーで見やすいのでなるべく移植直前にお手洗いに行かないでください。受付後は担当者が案内するベッドで手術着に着替えてお待ちください。移植前に移植する胚について胚培養士から説明させていただきます。その後担当者が手術室に案内させていただいて移植を開始します。所要時間は5分ほどです。」
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