24 甘くない現実 再び

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 生化学妊娠(生化学流産とも言う)のあと、生理が来たのは8月1日火曜日だった。それはそれは久々に1日目からめちゃくちゃ出血量の多い生理だった。子宮内膜をホルモン補充で厚くしていたからだろうか。  その後、9月、10月と続いて胚盤胞の移植を行ったけれど、しかも10月については2個胚移植のオプションを試したけれど、妊娠検査薬が陽性を示すことはなかった。3回で4個の胚盤胞を失った。残る胚盤胞は4個。4BBが1個、4BCが2個、3BBが1個だ。  移植周期は自己注射もないし、通院回数も少ないし、お腹が腫れて痛いこともないし、採卵周期よりも断然気楽だ、なんて考えていた7月の私自身を「そんな甘いこと考えんな!」と殴ってやりたい。採卵も移植もつらいのだ。  金額的にも移植周期の費用は約30万円で費用負担は少ないが、それは最初に約70万円の採卵周期を経験しているからであって、金銭感覚が麻痺しているから少ないと錯覚しているだけに過ぎない。私は降職もしたし、公的保険や会社の福利厚生など差っ引かれた1ヵ月の給与の手取りは23万円程度なので、私だけの月単位の収支を考えただけでもマイナスだ。  私はまだ不妊治療を初めて浅いけれど、しかも不妊の原因がはっきりと判明していて、いきなり不妊治療の最終ステップにいるけれど、不妊の原因が分からずタイミング法から始めて人工授精、体外受精、そして顕微受精へと治療をステップアップしていくご夫婦は最終ステップの顕微受精にたどり着くまでに数年掛かっているわけで、その数年はずっと「また妊娠できなかった」の繰り返しで、精神的に追い詰められていくのも無理はない。金銭的にもものすごい負担が積み重なっている。  やっとたどり着いた最終ステップでも、医師・看護師・胚培養士が最大限できることは、移植に適した環境を整え、タイミングを整え、移植時に胚をベストな状態に整えることであり、そこで上手く着床するか育ってくれるかは、その胚自身の持つ力次第。まさに「神のみぞ知る」ということだ。  4回目の移植周期はどうするか。次は【アシステッドハッチング】を試してみるか。また出費がかさんでしまうな。
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