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私は診察室を出て、医師からもらったばかりの胎嚢のエコー写真をマジマジと見つめた。「この子が今、私のお腹の中にいるんだ!」と実感が湧いてくる。タクミに「胎嚢確認できた!」と一言だけメッセージを送った。
看護師から呼ばれてカウンセリングルームに入ると、いつもの貼り薬と膣錠があった。
「こちら、来週の通院までの1週間分のお薬です。貼り薬のエストラーナテープは今まで4枚ずつ貼っていましたが今週は1枚減らして3枚ずつ、2日間貼ったら貼り替えてください。膣錠も来週の通院までの1週間分です。1日1回使用してください。お持ち帰りいただくお薬は以上です。何か質問はございますか?」
「大丈夫です。」
「それではロビーでお待ちください。」
会計を待っている間にタクミから「今度こそ【花舞】やな!」と短い返信があった。
買い物を終えて私が帰宅してから暫くしてタクミが帰宅した。
「お帰り。繁忙期のやのにこんな早く帰ってきて大丈夫なん?まだ20時になったばっかりやで?」
「ははは!もー、マナはやっぱ異動しても社畜やな!繁忙期でも定時退社日じゃなくてもたまには早く帰らせてくれよー。」
「あ、ごめん。また社畜出てた?すぐに顔出したがるから。」
「【花舞】は全然予約取れへんくてお祝いいつできるか分らんからさ。今日はささやかやけどこれでお祝いしよ!」
「うわー可愛い!」
タクミが持ち帰ってきたケーキ箱を開封すると天使を模した薄ーいチョコレートの飾りや色とりどりのカットフルーツがキラキラと煌めくデコレーションケーキだった。
「【Patisserie Minoru】!この店、この前関西ローカルのグルメ番組で取り上げられた!」
「そうそう。西九条の駅からちょーっと行ったとこにあるから行ってきた。さすがにテイクアウトやし夜は空いてたで。」
「西九条の駅からちょーっと行ったとこちゃうやん。一駅隣のほぼ弁天町やん。わざわざ行ってくれたんや。ありがとう!」
「ははは。そんな残ってるか分からんケーキのためにわざわざ行かんよ?通勤定期の範囲内やしな。一応、電話でホールケーキ小さくても良いんで1台残ってますか?って聞いて取り置いてくれたのがこれやったっていう。種明かしまでしてまう俺。」
「ありがとう、何でも嬉しいです!」
その夜はふたりでエコー写真を眺めながら美味しいケーキでお祝いして楽しい時間を過ごした。
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