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その日の夕飯はおよそ1週間ぶりにタクミと一緒に食べた。タクミには「俺の食事の準備はせんでええから。むしろ寝といて。」と言われていたからだ。でも今日は天王寺駅のお惣菜屋さんでお惣菜を買ってきたので一緒に食べようと思ったのだ。
さっき帰ってきたタクミを出迎えた私を見て、タクミは「起きてて大丈夫なんか?!」とかなり心配していた。
「今日はクリニックまで行って疲れたんちゃうん?寝といてくれて良かったのに。」
「急ぎ相談せんとあかんことがあって…。」
私はタクミに分娩予約をすっかり忘れていたこと、楢崎レディースクリニックでは妊娠12週までしか対応していないので早急に転院先を探さないといけないことを話した。
「おぉ…それは早よ決めなあかんな。どこの医療機関も年末年始休業に入ってしまう。」
「取り敢えずこの近くで分娩予約を受け付けている施設は聖天会総合病院と花山病院。妊婦健診の通いやすさで選ぶなら花山病院かな。河内長野市でいわゆる里帰り出産するなら候補は南河内医療センターかミズノマタニティークリニックやけど、どっちも全然実家から近くないし、妊婦健診も通いにくいねん。」
「ってことは、花山病院で決まりか?」
「そうなるなぁ。」
「初産やし、俺が仕事に行ってマナがひとりの間に陣痛とか来たら俺も不安やから実家にいてもらうほうが安心やけどな。」
「まぁ花山病院なら近いし、陣痛タクシーとかも登録すればたぶん大丈夫。無事に赤ちゃんが産まれたあとはタクミには悪いけど赤ちゃんと私は桜庭家に行こうと思う。」
「せやな。育休取ろうと思うけど、子供産まれてから育休申請して認められるまでタイムラグあるしな。マナが実家に戻るのは良いと思う。あとやっぱ赤ちゃん産まれたら車は必要やな。チャイルドシートも要るしな。うんうん。ベビーベッドも必要やな。徐々に必要なものを具体的に考えていこう。」
「ほんじゃ私は花山病院で分娩予約取ってみるね。週が明けたら保健センターに母子手帳とかももらいに行く予定やし。」
「そういえば正月はどうする?せっかく安静生活のお陰で出血も今のところしてないのに箕面の塩谷家まで行くとなると遠いやろ。今回はパスしようか。大事な時期やし。桜庭家はまぁ近いしマナが行きたいなら行こう。」
「確かに、もうそんな時期やんな。でも新年のご挨拶行かんかったら失礼じゃない?まぁ妊娠報告するには早過ぎるからお義兄さんへのお礼はまたもう少しあとで良いとは思うけど。」
「マナが体調不良ということで俺も箕面に行くのはやめとくわ。体調不良のマナを家にひとり残してお節とか呑気に食べてる場合ちゃうやん。」
「ごめんな。気ぃ遣わせて…。桜庭家に行くのもやめとこ。」
「そうか?マナが良いなら俺もそれで良いよ。」
こうして分娩予定病院と正月の予定も決まったのだった。
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