苦難

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苦難

あの日以来、なぜだか学校も楽しく感じる。 しかし浮かれていると周りに気づかれてしまうほど顔に出ていたら恥ずかしいと思い、しかめっ面をして生活していたら、先生になんだその態度はと怒られて唯一友達の琉悟に笑われてしまった。 「最近ご機嫌っぽいけどなんかあった?」 「え。しかめっ面してたのに」 「あー。なんとなく?」 「へぇやっぱ琉悟はすごいな。なんでもお見通し」 琉悟はなぜかいつも俺の感情を汲み取ってくれる。中学生の時から一緒だから知っているが、琉悟は人当たりが良くて友達も多くて、勉強も運動もできてとにかく何でもできるのだ。 「そんな大したもんじゃないって……それより!なんかあったの?」 「……ずっと、あ、憧れてた人に会えて、その人も俺のことちゃんと覚えててくれて……嬉しくて、毎日楽しい。ってくらい」 「……好きな人?」 そう言われ、ビクッと分かりやすく反応してしまった。 「天宮好きな人いたの?」 「い、や。ち、ちがう。すきじゃない」 そう、違う。別に今は好きじゃない。ただ今も変わってない部分があって嬉しかっただけ。 「しかもずっとって」 「ほんとにっ……違うから」 「あ……ごめんしつこかったわ」 「ううん。強く言いすぎた。せっかく話聞いてくれたのにごめん」 「そんな落ち込むな!そうだ。気晴らしに放課後なんか食べ行く?」 「えっいいのっ……?」 「うんいいよ。天宮が良ければね」 琉悟は良い奴だ。 こんな不甲斐ない俺と友達でいてくれている時点で優しさの塊である。 そして放課後、約束通りにファミレスでお肉とポテトとパンとパフェとアイスと、あとケーキを食べた。満腹で幸せだ。 そしてついでに琉悟の買い物に付き合っている。適当に暇つぶしをしていてと言われたから、家も近いし迷うことはないだろうとなんとなく近辺をうろうろしていたら、久郷らしき人を見かけた。 偶然会えるなんてと嬉しくなって、少し駆け足でそっちへ向かい名前を呼んだ。 「くごっ……」 しかしその瞬間。 久郷は知らない女の人とキスをした。
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