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彼女に起きた出来事を知ってから、僕にとって男の性欲は嫌悪でしかなかった。
彼女を傷つけた男と同じように、勃起し射精する自分も憎悪の対象だった。
しかし今までどんなことをしても反応をしなかったものが、彼女の愛撫で突然機能を取り戻す。
気持ちが良ければ良いほど、君がされたであろうことが頭を掠める。
彼女に汚い欲望を見せたくない。
どうしようもないくらい恥ずかしくて、彼女に申し訳なくて、情けなくて、だけど気持ちがいい。
愛撫を受ける間、頭の中はずっとぐちゃぐちゃだった。
彼女は僕を射精させたがった。
単に情けなく悶える僕が面白かったのだろう。
彼女の嗜虐心が満たされるならいくらでも痴態を晒す。
でも、僕だけは彼女を性欲のはけ口にしたくなかった。
僕にとって彼女は何より神聖で、世界で一番尊い人だから。
絶対に穢したくない。
間違いなくそう確信しているのに、勃起し初めて扱かれる快感に、それも思い焦がれた彼女にされていることに、とてつもない興奮と喜びを感じている自分がいた。
穢したくない、我慢できない、焦らされる度自分を取り戻す、その繰り返し。
縛られていなかったら、襲いかかって彼女を貪っていたかもしれない。そのくらい、耐えがたい衝動だった。
しかし突然、彼女は焦らすことをやめる。
刺激の合間にかろうじて自分を取り戻していた僕は、欲望に飲み込まれる。
僕の中の彼女は綺麗なまま。
ただ僕が卑しく下劣に落ちぶれただけ。
そう言い訳をして、あっけなく僕は射精した。
──でもその甲斐はあった。
再開してから初めて、あの頃のようにふんわり笑う君に会えたんだから。
そのためなら、いくらだって付き合う。
どんな姿だって見せるし、何をされたっていい。
僕を玩具だと思っていいし、サンドバッグみたいに扱ってもいいよ。
お願い僕を必要として。
君の心が晴れるならなんだってするから。
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