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変な子。
家に居たらダメって意味がわからないし、たまたま僕がいたからって……そんなの全然プレゼントじゃないのに。
一瞬そう思ったけど言わなかった。
だって、欲しかったプレゼントをもらった僕よりも、女の子の方が幸せそうだったから……。
なにより僕がいることを喜んでいる女の子を見ていると、僕が知らなかっただけで、実は僕は素晴らしいものだったんだ、って気がしてきて、心がポカポカと暖かくなった。
「これから帰ってケーキ食べるけど……君も一緒に来る?」
「えっ……いいの?」
女の子を連れて家に帰ると、クリスマスツリーのライトが光り続けていた。
小さく感嘆の声を上げ、彼女はツリーをうっとり眺める。
ライトに照らされた女の子の顔は虹色に輝いていた。
ライトがずっと光っていたのはこの子のためだったんじゃないかって思った。
冷蔵庫に入っていたケーキは少し硬くなっていたけれど、僕らはケーキをペロリと食べた。すごく、すごくおいしかった。
どんなに豪華な柔らかいケーキを一人で食べるより、絶対においしいと思った。
知らない女の子がひとりじゃないクリスマスを僕にくれた。
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